初めてバンド名を目にした時はドイツのMAD MAXかと思いましたが、よく見りゃMADAM X。後にVIXENに参加するロキシー(Ds)と、その姉マキシーン(G)のペトルーシ姉妹が在籍。更にはSKID ROW加入前のセバスチャン・バックが短期間ながら参加していたことでも知られるデトロイト出身の4人組ですね(バズはアルバムには不参加)。 本作は彼女らが'84年にJET RECORDSからリリースした1stアルバムで、80年代初頭のジャパメタ・バンドもかくやという、ジャケットを飾るメンバーの若気の至り感びんびんなルックスが物語る通り、MADAM Xが聴かせてくれるのは、ザックリ刻まれるリフ、ノリ易いリズム、フラッシーなGが躍動する王道の初期型LAメタル・サウンド。KISSの薫陶を受けたと思しきサビはすこぶるキャッチー…つか人によっては「うわアホっぽい」と感じてまいそうな単純さですが、精神的に参っていて音楽なんざ聴きたかねえという時でも、スッと染み入るこのシンプルさと勢いの良さは十二分に魅力的。“WE WANT TO ROCK”とか“STAND UP AND FIGHT”とか、英語赤点の我が身でも理解できるレベルの曲名も味わい深し。WE RESERVE THE RIGHT TO ROCK!ってなもんで。 真面目な話、プレイ・アビリティも曲作りのセンスも間違いなく光るものがあり、特にマキシーンの目の覚めるようなGプレイが炸裂するテクニカルなインスト・チューン⑤から繋がっていく疾走ナンバー⑥や、キレのあるGとVoのロブ・ハルフォードばりのハイトーン・シャウトを生かして本編ラストをハードに締め括る⑪なんて、並のバンドじゃ書けないカッコ良さを誇っていますよ。 バンド名とジャケットに挫けず、是非手に取って頂きたい力作です。