主力メンバーが次々と脱退していく窮地にあって、若き実力派ミッキー・トーマス(Vo)、元JOURNEYの豪腕エインズレー・ダンバー(Ds)といった新たなタレントを補充することで息を吹き返したJEFFERSON STASHIPが、81年に発表した6thアルバム。 前作『FREEDOM AT POINT ZERO』(’80年)は、そんな彼らがHR路線に開き直って放った快作であり、個人的に数あるJEFFERSON STASHIPのカタログの中でも最も愛して止まない名盤の一つなのですが、その成功の勢いを駆って再びロン・ネヴィソンをプロデューサーに起用。同じラインナップを保ってレコーディングが行われている本作もまた、更にメロディアスHR路線に踏み込んだ仕上がりとなっています。 何しろバラードすら見当たらないという徹底ぶりで、煌びやかなシンセが映える①、次作でバンドに復帰を果たすグレース・スリックがゲストVoとして華を添える②、ライブで盛り上がること請け合いの③…と、張りのあるミッキーのハイトーンVo、一打一打が重たいエインズレーのヘヴィ・ヒッティングはこうした作風にマッチ。クレイグ・チャキーソのGも負けじとホットな弾きまくりを披露してくれていて、日本の歌謡曲ばりの哀愁を纏ってハードに駆け抜けていく④と、“ALIEN”のタイトル通り重厚かつスペーシーな雰囲気漂わすドラマティックな⑧は、特に感銘を受けた本編ハイライト級の名曲ですよ。 セールス的にも評価的にも振るわなかったものの、個人的には前作と共にHR/HMリスナー向けJEFFERSON STASHIP入門盤にお薦めしたい名盤。もじもじクンのコスプレみたいな恰好の女性が映り込むジャケットだけ見ると、とてもそうは思えないかもしれませんが…。